狩りで食料を得ていた時代、人々は多くて 200 人くらいの群れを形成し、一定期間ごとに数百メートルずつ住処を移動させて暮らしていた。
その頃は 10 人に 1 人が殺人によって命を落としていた。
やがて人類は農耕の知を獲得して定住するようになった。
そして 5 人に 1 人が殺されるようになる。
所有という概念が芽生え、それを巡り争うようになったからだ。
住居を、耕作地を、家畜を、食料を、あらゆる物品を、いよいよ他者をも所有するようになった。
社会は群れから国家になり、尊敬されたリーダーではなく、忠誠を強いる王によって統治され始める。
争いは規模の大きな戦い、戦争になった。
小さな群れでは誰もが自身の存在意義を感じていたが、承認を欲して立身出世を競わなければならない社会になった。
競えば勝者と同数の、いや、それ以上の敗者も生まれる。
人類の歴史を一概に否定などしない。
私は、今の世の中を慈しんでもいる。
しかし私達は、進化できたと言えるだろうか。