私たち人類は、口達者であることが成功の要素になっている。いつからだろう。
定住が定着して、国単位の大集団で生きるようになってからではないだろうか。
そして通貨が発行されて以降は輪をかけて、口の上手い人間の下に、富や権力、異性や金魚のフンが、わかり易く集うようになった。
政治家、経営者、医者、教師、マフィアのボスも法の番人も、神父も坊主も占い師も、夜の世界は言うに及ばず、果ては詐欺師まで。
スポーツ選手や格闘家、芸術家や芸能人も、例外ではない。同じ能力なら口が立つ者の方が、より人々に知られる階層に登っている。
ラジオもテレビも、今日では動画サイトも、口上手な人が顕示欲を発揮している。
時代が進んで媒体が変わろうとも、口八丁で成功を掴み取る人が現れ続けている。
しかし、口は災いの元でもあるから恐ろしい。
失言で成功を帳消しにする人も後を絶たない。
口の使い方は、もうひとつある。
誰にでもできる。それは沈黙だ。
沈黙で語る。
沈黙で返す。
口下手なら、沈黙を上手に使えるようになればいい。
脚光を浴びるような成功とは趣き異なる大成もある。