ソビエト時代に生まれ育った真面目な男。
外国人の私が入館するには事前に諜報機関の許可を得なければならない研究施設で働いていた彼は、つまりエリートだ。鉱物資源を探査する機械の開発に携わり、世界各地で成果を挙げる。
物腰は柔らかく優しい。
休憩時間になると、テーブルに熱い紅茶とレモン、はちみつ、黒パン、チーズ、サーロ、魚や野菜の酢漬けを並べて振る舞ってくれた。
晩年は病で寝込みがちになりながらも、穏やかな性格は変わらず、家族に見守られながら最後を迎えたという。
ロシア正教において死は祝福である。
グレゴリー氏による生の全うに敬意。