イタリアの古城で幽閉された 後に食べたアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノは、まさしくアルデンテで絶品だった。
皿に盛り付け、客が食べる頃、ちょうど芯まで熱が入るように茹でる職人技だ。
歯応えを残すという意味らしいが、柔らかく茹でるより消化にも優れるらしい。
米も本来、上手な炊き方というのは粒が『立つ』くらいに歯応えを残すものだ。
いつからか米は『もっちり・ふっくら』が美味いとされるようになり、その実現のために炊飯器はおよそ圧力釜になった。
炊飯器では立たせるよりも柔らかくする方が簡単なので、『もっちり・ふっくら』が美味いんだと宣伝したのかも知れぬ。
ちゃんと計り、ちゃんと洗い、ちゃんと潤かし、ちゃんと水も計り、ほどほどの圧力で炊けば、アルデンテの米が炊ける。
ほどほどの圧力には、土鍋の蓋がちょうどいい。
難しそうに語られる火加減だが、そうでもない。
沸いて10 分、蒸らしに 10 分、火の調節は不要。
粥は粥として美味いが、歯応えある米も美味い。
立った米と味噌汁、そんな朝飯が私は大好きだ。