農耕民族にとって、収穫した食糧は自分の物。
あるいは権力者の物。
狩猟民族にとって、捕獲した食糧は群れの物。
みんなで分けて頂く。
狩猟民族の生活様式を残す部族では、今でもその精神が生きている。
大きな獲物を狩っても、それが誰の成果かわからないように、人目を避けて集落に持ち込む者も多いらしい。顕示欲や出世欲よりも、慎ましさや恥ずかしさが勝る価値観。みんなが今日の食事にありつけて、みんなが幸せになれば、それでいいじゃないかと。
人類は農耕の技術を得て定住を始め、所有という概念を持った。
それは貨幣や分業を生み出し、産業や科学の発展につながり、今日の社会を成した。
得たものは、とても多い。
でも失ったものも、ある。