水を沸騰させる。
気体になって見えなくなるけれど、消えて無くなったわけではない。
車を分解する。
どんどんバラバラにしていくと、もはや車ではなく、無数の部品として一面に散らばる。
部品をさらに分解する。もう何も外せなくなくなっても続ける。
鉄もアルミもプラスチックも、分子の集まりで、分子は原子の集まりで、原子は量子の集まりで・・・と続けていくと、最後は常に揺れ動く糸くずのようなものに辿り着くという。ありとあらゆるものが。
水も車も、あなたも私も、狼もゴキブリも、野花も核ミサイルさえも、突き詰めれば、同じ糸くずのようなもので出来ている。
揺れ動く糸くずの組み合わせの違いで、まったく別物になって世に生まれる。
わけのわからない事象。
たぶん輪廻転生とは、無常とは、そういうことなんだと思う。
人は消えない。つまり死なない。死んで無になったように見えても、消えて無くなるわけではなく、地球上もしくは宇宙空間での何かで在り続けるのだろう。