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父とイワシ

子供の頃、高頻度で朝の食卓に並ぶイワシの丸焼きが嫌いだった。
はらわたの苦みと、取りようもなく食べるしかない小骨、臭いも。

美味しそうに食べる父の味覚を、まったく理解できず。
大人になり、嫌いと言う程ではなくなったものの、さりとて好きと言う程でもなく、自ら選んで買ったり注文することはないまま私も 50 歳を過ぎた。

ある日、6 尾 298 円で売られていたイワシを目にした時、なにとなしに父の顔を思い浮かべ買ってみた。25 cm 程の立派な大きさだけど、ずいぶん安く売られている。

焼いた傍から、独特の魚油の匂いが漂う。
そう、臭いではなく、匂い。たまらない。

割としっかり焼いて、皿に載せてもジュージューと魚油が小さく跳ねていた。
美味い。小骨はぜんせん気にならず、身はもちろん苦みのある腹わたさえも。

高頻度で朝の食卓に並べるようになり、美味しそうに食べる私。
それを理解できない顔をして見ている子供達。歴史は巡るのだ。

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