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EP 1:プロローグ

のっけから下品な話で恐縮ではあるけれど、私は相応の資産家のはずだ。
ドルで言うところのビリオネアには遠く及ばないが、ゼロを円換算で数えてもよいならならそうなる、はずだ。

かつてはロシアを、現在はアフリカを主な市場としてビジネスを展開している。
現地で複数の会社を営み、そのオーナーとして富を得た。代々の資産家ではなく、宝くじに当たったわけでもない。投機には興味もセンスもないので、実業しかしていない。

住まいは日本だが、仕事場はアフリカ。
日本で使うお金は、アフリカから送金することが日常だった。

2025 年の初頭、その送金ができなくなった。
だんだんと限度額が減り、だんだんと所要日数が増え、ついにはまったくできない今日この頃。

私の許には、海外からの送金に詳しいと称する人が次々と現れた。
国連を経由させればと力説する猛者もいた。手数料が高いけれど。

しかし実際にお金を動かせる人は、誰一人としていなかった。
どんなに預金があっても、引き出せないのでは無いに等しい。

つまり、いい歳をして無一文が目前に迫ってきた。
当たり前だが生きていくにはお金が必要な世界だ。

お金を稼ぎ直さなければ。
文字通りゼロからになる。

もし私が経験して来た実業による資産形成に再現性があるなら、もう一度、同じことをすればいいだけだ。簡単じゃないか。

面白いことを思いついた。
ゼロから始める稼ぎ直しを、記録していこう。公開していこう。

登場人物は当然ぼかすし、話も盛って嘘もつく。
完全ノンフィクションというわけにはいかない。
けれども大筋では現実を実況していこうと思う。

つまりファクションだ。

これから起業する人や、お金持ちになりたい人に、その方法を伝えようなんて気持ちはまったくない。私は惚れたメスにだけ優しい淡白なオスであり、善人でもなければお人好しでもない。

駄文に値をつけるほどせこくもない。
盗める何かがあれば、ご自由に、だ。

信じるかどうかは私の問題ではない。
結果、失敗に終われば笑って欲しい。
リスタートの扉を今、開けてみよう。

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EP 2:届かぬ理由
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