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空飛ぶ発電機

発明は日々、世界中で生まれている。
その発明を活かしたビジネスも然り。

私が楽しみながら取り組む仕事、代理人。
新しい技術やサービスを日本に持ち込む。

大企業は、その気になれば一挙に世界展開を図る。
市場として魅力があれば、日本にも進出して来る。

しかし創業から日が浅いベンチャー企業にとって、開発した技術やサービスを世界中に自力で広げるのは、負担が大きくなかなか難しい。
日本の市場はウチに任せてみませんか?とお声掛けしたり、されたり、そんな仕事だ。

弾き過ぎだろ、ってくらい水を跳ね飛ばすアメリカの撥水スプレー。
眩し過ぎだろ、ってくらい光を貯め込むオーストラリアの蓄光塗料。
楽し過ぎだろ、ってくらい子供を夢中にさせるイギリスの踏力発電。

いろんな面白案件の日本代理を担って来た。
ほとんどがベンチャーゆえに、数年で大手に買収されちゃったり、連絡が取れなくなっちゃったり、というのが現実だけど、そのうち大化けする案件もあるんじゃないかな。

運営に当たり、フィーをもらうこともあれば、成功報酬で担うこともあり、逆に払うこともある。ケースバイケース。

そんなある日、大型の案件が舞い込んで来た。
一言で説明できちゃう発明、空飛ぶ風力発電。

既存の風力発電は支柱を建てねばならず、場所も固定される。
気球みたいに空に浮かべれば、支柱は不要で、移動もできる。

斬新な大発明ってほどではないけれど、投資を集めて実現できちゃうところが流石のアメリカ。
もういくらの提示だったか忘れてしまったけれど、こちらが契約金を支払い、日本の総代理店として展開する形で話が進んだ。

だが契約直前、本当に直前、キャンセルの申し出を受けた。
聞けば、お前の何十倍もお金を持ち込む奴が現れたと言う。

ソフトバンクだった。
何百倍でも出しそう。

災害時に移動基地局を開設する際の電源確保にぴったりな技術だと求愛さられたらしい。
資金力は言うまでもなく社会的な意義の面でも、パートナーとしてまったく勝ち目なし。

女性に振られた感じで、終わった。

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